古代集落の構造と変遷3
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奈良文化財研究所では、1996年から古代官衙と集落に関する研究集会を継続してきました。この研究集会は、律令国家を構成する様々な遺跡(遺構・遺物)を対象として毎年一つのテーマを設定し、全国の官衙や古代集落に関心のある考古学・文献史学・建築史学・歴史地理学など諸分野の研究者の方々が一堂に会して熱い議論を交わす学際的な研究集会です。 2020年度からは「古代集落を考える」と題するシリーズを立ち上げ、古代集落に関わる様々な課題を複数回に分けて議論を重ねることとしています。その3回目となる昨年度の第26回研究集会では、「中間まとめ」として、各地の古代集落から導き出される古代集落の基本構造の共有を図りました。その上で、近年まとまった調査成果が報告された集落遺跡や律令国家の境界域にある集落遺跡の分析、史料に見られる集団と古代集落との関係に関する検討など、今後のシリーズの指針となる濃密な議論がおこなわれたところです。 この度、その成果をまとめた研究報告が完成し、皆様にお届けできる運びとなりました。本書の執筆に当たられた研究報告者の方々をはじめ、研究集会に参加された皆さまに厚く感謝申し上げるとともに、本書が広く活用され、今後の新たな調査や研究の展開に繋がることを期待します。 奈良文化財研究所は、これからも古代官衙・集落遺跡の調査研究から古代国家や社会の歴史的特質を明らかにするべく新たな研究課題を開拓し、全国の研究者の皆様との連携のもとに研究集会を継続したいと考えています。 今後とも、古代官衙・集落研究会の活動に対して、皆様のご支援とご協力を賜りますようよろしくお願い申し上げます。 2023年12月 独立行政法人国立文化財機構 奈良文化財研究所長 本中 眞 |